けなさなくてもほめられる

2017年10月19日(木)  List  Edit  New

次の二つを比べてみよう。

「私は、作品Aがいいと思う」

「私は、作品Aがいいと思う。作品Bなんて最低だ」

「Aを高く評価する」と主張するときに「Bを低く評価する」必要があるかどうか。それはよく考えたほうがいい。AとBを併記するのは妥当なのか。そもそも両者を比較すべきなのか。Bを低く評価することで、本来伝えたいメッセージを歪める心配はないか。Aがいいというメッセージの拡散を鈍らせないか。

卑近な例を挙げる。好きな作品を褒めたいときに「Aはステキだけど、Bはサイアク」とツイートしたとしよう。Bのファンは怒る。せっかくの「Aはステキ」というメッセージも素直には伝わらなくなる。リツイートも減る。

批判ツイートしてはいけないと言ってるわけでない。「批判ツイートがどのように受け止められるのかな」という話。せっかくの言いたいことが、伝わらなかったらもったいない。

技法はいろいろある。Aを高く評価して、Bを低く評価するときに、Bについては具体的な作品名を避けて「どういうものを低く評価するか」と属性評価に切り替えるやり方はその一つ。そしてそのやり方は、自分がなぜAを高く評価するかの説明にもなってくれる。メッセージが明確になる。

別の作品をけなさなくても、その作品はほめられるよね?


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結城浩(ゆうき・ひろし) @hyuki

『数学ガール』作者。 結城メルマガWeb連載を毎週書いてます。 文章書きとプログラミングが好きなクリスチャン。2014年日本数学会出版賞受賞。

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