2018年04月09日(月)

質問

生きる目的とは何でしょうか。

最近このことにとらわれて、何事にもやる気が出ない状態が続いています。何かを始めようとしても、そのことの目的を考え、突き詰めていくと生きる目的になってしまい、思考停止に陥ってしまうのです。

生きる目的について、結城さんなりの考えをお聞きしたいです。

僕はクリスチャンではありませんが、もちろんキリスト教的な考えでも構いません。

回答

生きる目的は何かと問われると、三つのことが心をよぎります。

健康のこと。時間のこと。そして愛のこと。

わたし自身が「人生の目的」を考えるときは、自分の調子よくないときが多いです。さびしいとき、むなしいとき、何もかもがうまくいかないとき、お腹が空いたとき、一日中眠くて動けないとき、そして病気のとき。そんなときに「人生の目的」を考えてしまいます。

「人生の目的」というと、時間に依存せず、固定的なものが存在すると考えてしまいますが、そうなのだろうか、とも思います。実は「人生の目的」というのは、各瞬間に変化する動的なものなのではないかと考えるということ。目的が変化するというと変ですが、自分が一人の人格として、この限りなく変化する人生を渡っていくプロセス自体が、人生の目的であり、人生の成果物なのではないかということです。

拙著『Java言語プログラミングレッスン』にも書きましたが、「人生の目的」というのはその最も抽象化したレベルでは「愛」なのではないか。私たちは自分の人生のそれぞれの場面で、そして時間で「愛を実装する人生」を歩んでいるのではないか。言い換えるなら「自分にとって愛とは何か」を自分自身によって表現することが人生なのではないだろうか。

私は、そんなふうに思っています。



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結城浩(ゆうき・ひろし) @hyuki

『数学ガール』作者。 結城メルマガWeb連載を毎週書いてます。 文章書きとプログラミングが好きなクリスチャン。2014年日本数学会出版賞受賞。

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